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コーポレートファイナンスの玄人がシード期のチューリングを選んだ理由

この記事に登場する人
財務経理部
大杉 亘平 Kohei Osugi
大学を卒業後、凸版印刷、オリンパスで財務、IR、管理会計、資金調達、M&Aを経験。その後リクルートで経営企画・事業戦略を経験した後にメドレー・Wantedlyにて経営管理・経営企画全般を担う。2023年10月にチューリングに入社。ファイナンスをメインミッションとし、プレシリーズAの資金調達を支えた。

大手メーカー、メガベンチャー、スタートアップと多岐に渡る業界ので財務、IR、管理会計、経営企画を経験し2023年にチューリングのファイナンス室兼財務経理としてジョインした大杉。彼がなぜチューリングにジョインしたのか。そしてプレシリーズAのファイナンスの裏側について聞きました。

ーー大杉さんのキャリアは多岐に渡りますが、これまでどんな意図で環境選びをしてきましたか?

大前提として、私は長いスパンでキャリアパスを描いていません。キャリア初期で家庭を持ち、子どもが生まれたことで家族との時間を確保しながらいかに学びを最大化するか、という考えがベースとしてありました。プライベートで勉強する時間は取りづらい環境にいたので、仕事での学ぶ量や質を強く意識していたんです。環境選びに関しても「自分の成長に繋げられる部分がより多い場所へ身を置く」ことを判断基準としていました。

新卒入社した凸版印刷では6年ほどファイナンスの世界を純粋に楽しみました。お金を集め・使い・使い方を伝達・共有するという3つのポイントで資金調達やM&A、IRを経験できました。当時ファイナンスを幅広く学べたコトは私のキャリアのベースとなっています。

一方で自分が学びたいことを効率よく学ぶという観点では社内にその機会がないこともしばしばありました。そのため、経験していない領域・かつ興味があるものを習得しスキルアップしていきたいという意思を持ち転職しました。オリンパスでは海外/経営管理、リクルートでは経営企画・事業戦略を経験することで、経営戦略・事業戦略に関する幅広いスキルを身につけられたのはよかったです。

ーー最初の3社で経営管理からファイナンスまでを幅広く学べたのですね。

そうですね。10年ほど一貫性のあるキャリアが積めたこと以外でも、複数の会社を中枢から眺めることができたことも幸運だったと思っています。ビジネスモデルや組織が全く違う複数の会社で働いてきたなかで、ファイナンスの観点で各会社の強みや弱みをしっかりと読み解く努力をするという良い癖をつけられました。直近ではメドレー・Wantedlyとベンチャー企業の経営管理、経営企画として仕事をしていたのですが、これまでの経験を総合的に使いながら仕事ができる環境に身を置くことで、これまで培った経験やスキルを繋ぎ・底上げができたなと感じています。

日本における唯一無二性の存在であるチューリングだからこそ、自分の介在意義がある

ーーそんな大杉さんが次なる挑戦先としてチューリングを選んだ理由について教えてください。

チューリングが、これまでの集大成として、自分の介在価値を最大限発揮できる場所だと感じたからです。また、成長密度という観点では誰も実現したことのない完全自動運転を実現する・ディープテック企業を上場に導く経験は難易度が非常に高く、その中で得られるものも大きいと思っていました。また、COOの田中さんの存在も大きかったですね。

私の経験として、経営企画・ファイナンスの価値は事業部に対して本質的な問いを立てることだと考えています。事業を数字で見てメンバーが考える戦略や方針に対して盲点を見つけフィードバックしたり、逆に強みやポジティブな側面をきちんと伝えたりすることには価値があります。それにより事業の成功確率を上げることができ、事業価値を最大化していけると考えています。

ーーこれまでSaaSドメインの経験に厚みがあった中で、なぜ経験のないディープテックを選んだのでしょうか?

シンプルに難しいことに挑戦したいと思ったからです。単純なビジネスモデルの場合は自分がどこまで成長したとしても、レベル100の人とレベル50の人でアウトプットの質は変わりません。ビジネスモデルが複雑だからこそ、自分の介在価値が発揮できると考えていたのです。

運転はロングテールな事象が非常に多いです。それらをルールベースのシステムで解決することの難しさや、生成AIを用いて実現していくというチューリングの戦略には納得感がありました。一方でそれをチューリング・テスラのどちらがやるのか?という観点ではテスラが実現する可能性は高いと率直に思っていました。

ただ、COOの田中さんとコミュニケーションを重ねていく中で、「テスラの方が早く実現したとしても、日本においてテスラと同様の技術を保有する事業はあるべき」「チューリング以外で実現できる環境がないかもしれない」と考えるようになりました。

そこから、これまでにない戦略で自動運転の市場を戦い、世界と戦える技術を日本に作るという挑戦にひかれチューリングへの入社を決めました。

プレシリーズAの資金調達の裏側と、経営企画・管理の本質

ーー2024年4月にプレシリーズAの資金調達をしました。振り返って、どんな資金調達だったでしょうか?

通常、安心して資金調達を実施するのであれば6カ月前にはファイナンスを一定ラインまで完了させます。危ないラインは3カ月前と言われているのですが、それ以上にギリギリまで攻めたファイナンスでした。

タイムラインの余裕が少ないディールだったこともあり、事業開発のスピードを緩めることなく資金調達を完了させるに当たっては、資金管理を徹底していたことは功を奏したなと感じています。2023年10月に入社して初めに行なった仕事のひとつが資金管理だったのですが、スタートアップにおける資金管理の重要性を肌で味わう良い経験になりました。

ーー数字をコントロールできていたからこそ、アクセルを緩めることなく資金調達を終えることができたということですね。

そうですね。具体的には2024年の1月から資金余力のアラートが鳴っていたので、本来であればどこかのチームの活動を停止し省エネ運転させるのが普通です。一方で開発を3カ月止めることで生まれるディスアドバンテージもスピードが命のスタートアップにとって許容できるものではありません。資金調達直前のタイミングをどうやり過ごすのかは当社にとっても非常に難しい課題だったのですが、開発速度は落とさずに乗り切る判断ができたのはよかったです。

結果として結構ギリギリのタイミングでの資金調達完了とはなったのですが、「資金調達が無理だ」と思う瞬間はありませんでした。私が楽観的な性格だというのもあるのですが、CXOs含め会社全体が完全自動運転の実現という明確な目標に向かって変わらず積極的な開発を続けていましたし、投資家の皆さんからもチューリングの強みやブレていない姿勢をご評価いただいていたので、必ず調達は成功すると疑わなかったです。

ーー徹底した管理をベースに、田中さん・経営陣が資金の状況を大杉さんと密に連携できていた事で安心して経営に集中できていたのですね

前提として、ファイナンス領域でのこれまでの経験から、あらゆる事業フェーズや場面で起きる経営における意思決定についてある程度肌感覚がありました。経営層とこれまで仕事をしてきたので、攻めどきと引き際を体で覚えていたという感じでしょうか。そこはすごく大きかったです。

また、意思決定が繊細になる状況で経営陣に対してどのようなコミュニケーションや接し方をすればいいかを経験できていたことも活きたと感じています。経営層の属性を見極めながら対話を重ね、意思決定に寄り添えたことが今回の資金調達を上手に進められたポイントでした。

経営企画から見たチューリングの強み

ーー大杉さんが考える、チューリングの強み、これからの課題を教えてください。

大きく2つあると思っています。1つめはCXO・メンバーのバランスの良さです。開発チームだけでなく、事業開発・コーポレートにおいても強いメンバーが集まっています。攻め守りの両面で組織が強化できているのはすごくいい点ですね。創業以来、開発方針にブレがなく、スピーディーに事業進捗できているのはチームの強さがあってこそだと思っています。

もう1つは採用力の強さです。毎月200〜300名以上の応募を獲得する採用ブランドやKaggle Grandmasterやシニアなエンジニアを獲得する採用力も強みかもしれません。

今後チューリングがより強くなる観点での課題は「事業開発」と「組織拡大」です。チューリングはまだビジネスモデルを構築できていないです。今後シリーズAやBの資金調達ラウンドへと進めていくためにはわれわれのビジネスの勝ち筋を作っていく必要があります。次回の資金調達までにビジネス・エンジニアリングの双方が噛み合った状態を作っていきたいですね。

ーー今回の資金調達で、投資家から信頼を獲得できたのはなぜでしょうか?

一番初めに投資の意思決定をいただいた投資家の方からは「自動運転を実現するのはチューリングである、それ以外では考えられない」それはチューリングを率いていくAIの寵児、山本一成への投資であると明言してくれています。また、別の投資家からは「日本産業を支えるという意味でもチューリングの自動運転を完成させるべきである」と仰っていただきました。

生成AIの風が吹く前から会社を設立し、生成AIにベットしていたからこの結果につながったのだと考えています。

チューリングは生成AI・自動運転を軸としたディープデックです。ここからビジネスモデルを定めつつ、完全自動運転実現のための技術課題を解いていきます。自動運転は、技術・法律・人のモラル全てが変わらないと実現しません。ある意味では国策レベルのムーブメントを作っていかないと成功の道はないといえます。われわれのチャレンジにおけるステークホルダーは一億人の国民と捉え、多くの人を味方につけるべく動いていきたいですね。

ーー今回のファイナンスを踏まえて、エンジニアにはどんな挑戦をしてほしいですか?

この会社は40人強の組織で、エンジニアにもある程度ファイナンスの動きが伝わっており、それゆえに大変さを感じた人もいるかもしれません。ですが、失敗を恐れずに挑戦すること、「成功のために必要な失敗」を積み重ねてほしいですね。まだまだエンジニアの手が足りておらず、毎月人が入ってくる状況の中でもこの姿勢は貫いて欲しいです。

失敗と成功は両極端に振れるものではないです。両者の距離は近いのでいい意味で失敗を成功するための武器と考えてチャレンジして欲しいなと思っています。いかに効率的に進めるか・いかにコストを抑えて進めるかではなく、一番成功角度の高いと思う進め方で計画を組む大胆さを持って欲しいです。開発において品質とコストが比例関数で表現できないケースや、スケール則に落とし込まれない要素があることは強く認識しています。だからこそ、私から予算が2億円と打診した時に、思考の幅を狭めるために2億円内で戦略を着地させるのではなく、目的や目標からぶれずに挑戦してほしいです。

ーー最後に大杉さんとして今後やり切りたいこと、挑戦したいことを教えてください。

シンプルに会社を成功させたいですね。私自身は原理原則をブラさず、チューリングの可能性をより広いステークホルダーに伝え、集めた期待を資金に変えていきます。エクイティー調達だけでなく、デッドや補助金・助成金などさまざまな面からチューリングの応援者をつくり、ファイナンスの面で会社に強く貢献していきたいです。

HR立石の編集後記vol.8

大杉さんのファーストインプレッションはクレバーで洗練された雰囲気の人という感じでした。ただ話してみるとついつい会話が盛り上がってしまう感じや家族とよくディズニーランドにいくエピソードなどから、親しみやすいお兄さんという印象を持っています。入社して数ヶ月間は工場や当時の六本木オフィスなどさまざまな拠点に足を運び、組織のハブとして情報を集めていく姿が印象的でした。組織に対して真摯で、社員から信頼を集める大杉さん。これからもチューリングの屋台骨として会社を支えてください!

ライター:久保

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