完全自動運転のための計算環境・マルチモーダル生成AI開発におけるインフラ構築にキャリアをベットした理由
中長期のキャリアのマイルストーンを「その道のトップランナーと対等にディスカッションできる存在になること」と話す渡辺さん。一人目のインフラエンジニアとして入社して以降、大規模GPUクラスター構築を推進している彼にこれまでのキャリアや、チューリングへの入社理由を聞きました。
新卒から新規事業担当部署に配属。初期クラウドサービスの立ち上げに携わる

ーー渡辺さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
学生時代は高等専門学校で電子回路や半導体材料などを学んでいました。私には兄が2人いるんですが、実は二人とも半導体業界で回路設計や電源回路設計をしています。私も半導体系に進むつもりだったのですが、ふと兄弟3人とも半導体業界もどうなのかなと思って、就職先は情報系にしようと考えNTTコミュニケーションズに入社したんです。
当時、AWSなどクラウドサービスが生まれていたときで、私がNTTに入社する年にクラウドサービス部が生まれ、部署の立ち上げと同時にそこに配属されました。入社すぐに半年でクラウドサービスを作ることになり、先輩と力を合わせて、NTTにおける初期クラウドサービスをつくりました。当時は珍しかったVMWareなどの仮想化製品を触る機会もありました。
ーー先進的なプロジェクトを新卒が担当することはなかなかないと思うのですが、なぜ選ばれたのでしょうか?
完全に運だと思っています。色々やりたいという想いはありましたし、大企業なのでなるべく希望に近い部署に行きたいと思っていました。半導体を使いこなす側であるサーバ/ネットワーク/ストレージなどのインフラ系の部署に行けたらベストだと思っており、それを面談で伝えていたのが大きかったかもしれません。
また、NTTのような大手企業は大きな研究機関をもっていて、ビジネス化を行う機運が当時高まっていたので、技術からビジネスを企画したいという気持ちもありました。幸運なことに、その願いも実は叶ったんです。クラウドサービスをリリースして5年ほどはサービスの担当をしていたのですが「そもそもサービス自体の企画がよくなかった」という議論が出て、サービス企画の部署に異動することになりました。
ちょうどその頃、第三次AIブームが来てPreferred NetworksがTOYOTAやNTTから大規模調達を受けていました。NTTがGPUクラスター構築を担当することになり、その担当を私がすることになったのです。当時、その領域に深い知見を持つ人は社内にいなかったので、苦労したことを覚えています。一方で今思えば、安定した経営基盤の中で経営幹部を含めて意思決定をして数十億円のコストを使った分野を任されたことは幸運でした。
2019年頃に外部カンファレンスで「これからAIで差別化を図るようになっていくと、自社でAIを作れることがポイントになり、自前で機械学習のインフラを持っているかどうかが、差別化の要因になる」と話したことがありました。当時はGPUクラスターが今ほどの盛り上がりを見せるとは予想していませんでしたが、この予想は当たったと思っています。
インフラの知見を広げるための転職と大きなチャレンジをするための転職
ーー次に渡辺さんはNetAppに転職しています。転職の経緯を教えてください。
NTTでは2022年まではサーバを中心とした仮想技術などのエンジニアキャリアを歩んできたのですが、ストレージの分野だけあまり経験がなかったんですよね。ストレージは奥が深く、AIも結局はデータありきなので、この分野の知見を一度掘り下げてみようと思い、NetAppに転職しました。
ストレージがなぜ奥深いかというと、ソフトウェア・サーバ・メディア(SSDやHDD)・ネットワークの4つが絡み合って動いているからです。例えば、サーバは壊れたらサーバを変えれば良いのですが、ストレージの場合は壊れた時にデータをどう保持するかが重要なので丁寧に作りこむ必要があります。複数の技術の組み合わせで成り立っているので、横断的な知見が求められることから、自身のスキルを伸ばす観点でも魅力的な環境でした。
ーーその後、NetAppからチューリングに転職されました。なぜチューリングを選んだのでしょうか?

NetAppでストレージの重要性や難しさを実感しました。ストレージに詳しい人は社内にたくさんいたので、いくらでもストレージについて学べる環境でもあったんです。でも、そのままNetAppで働くなら、お客様にNetAppをより多く使ってもらっていかに業績をあげるかという勝負になります。そう考えると、自分がやりたかった「技術からビジネスを企画する」という方向性からずれていくと感じ始めました。そのときから、LinkedInでフラグを立てていたんです。チューリングからも声をかけてもらいましたが、他の企業からも色々と連絡をもらっていました。
ちょうどその時は、ChatGPTで再びAIブームが訪れ、さまざまな企業がAIで大規模言語モデルを開発すると言い始めたタイミングでした。そんな状況の中、私が気になっていたのは「どうやってAIで儲けるのか?」でした。民間企業である以上、AIを活用して売上を出すことが重要ですが、そこまでの道筋が見えている企業はあまり多くない印象でした。
ーーチューリングからのスカウトに返信いただけた背景はなんだったのでしょうか?
実は「自動運転」というテーマは、チューリングから連絡が来る前から気にかかっていたんです。AIが解決する課題にぴったりだし、成功すればビジネスとしても100%跳ねます。そう思い、自動運転を目指している他の企業も受けたのですが、自分がもっているケーパビリティを生かせそうにないなと感じていました。
そんなとき、チューリングから「自前のインフラをもつので、設計や運用できる人を探している」という連絡がきて面白そうだと思いました。メッセージをもらってから色々と調べながら「これまでの自分のキャリアで一番楽しかったのは、インフラを作って運用していたときだ」という結論に至り、本能に従おうと思ってスカウトメールに返事をしたんです。
ーーあとから聞くと、実はチューリングの選考に進むか悩んでいたと言っていたのが印象的でした。そんな中なぜ面接を受けたのでしょうか?
実は選考を受ける前に読んだチューリングの社員の記事や経歴が非常にキラキラしていたので、ちょっと自分の力量とのギャップに尻込みする気持ちがありました。ただ、自分のやりたいことができそうだという直感があったんです。「選考に通るか通らないかよりも、自身が望むチャレンジができる機会に進んでみよう」と思い、ダメもとで面接受けることにしました。
そして、選考過程で体験入社という機会があり「自動運転の第一線で自分が活躍できる領域がある」と感じチューリングへの入社を決意しました。
AIで何を成すのか、その方向性が見えていることの大切さ
ーー体験入社で、なぜチューリングが魅力的だと思ったんですか?
大きく3つあります。1つめは、自動運転向けの機械学習に特化したインフラをつくれることです。多くのユーザーがいるサービスのインフラを担当していると、たくさんのお客さんがいてそれぞれの目的がある中で全員100%満足の基盤を作ることは難しいです。最後は全体最適化された基盤をつくっていくことになります。それもハードなのですが、「特定の目的で一番だと思えるものを、自分は作ったことがないけどいいのだろうか」というもやつきを感じていたんですよね。
2つめに、自身が関わったインフラを使う人の顔が見えるということです。しかも、特化したインフラを使うメンバーはKaggle Grandmasterやシニアなエンジニアばかり。チューリングで自動運転向けの機械学習だけに特化したインフラをつくれたら、一つの分野をやり切ったといえるんじゃないかと思いました。
最後に、1人目のインフラ人材として加わる点です。1人目なので、ある程度主導的に動くこともできます。こんなチャンスは二度とないと思いました。
ーー周囲の反応はどうでしたか?
私の心はすぐに決まったのですが、一応セカンドオピニオンのような感じで2人の兄や、周囲でスタートアップに転職した人にも意見を聞きました。兄たちには、「決断するならいいタイミングじゃないか」と言われました。ライフステージが進むと転職のハードルが上がるから、そこまでの想いがあるならむしろ今しかないと背中を押されたんです。
スタートアップに転職した知人には「AIで何を成し遂げるかが曖昧な企業も多い中で、無理難題でも完全自動運転という明らかな頂きが見えている状態が正しいですよね」と言われました。事業の方向性、そこに集まる人材の質、自身のキャリア機会の3つのピースがうまく重なり、転職を決断しました。
ーー最後に渡辺さんのキャリアの大きな目標があればお聞きしたいです。
私の目標は、そのドメインで先進的なことをする0→1で新しいことをする際に頼りにされるトップランナーになることです。そのために必要なのは、名刺代わりになる仕事を形にすることだと思っています。AI・ソフトウェアの世界においてPh.Dホルダーやトップエンジニアと対等な関係で仕事をしていくには、私自身に大きな実績が必要です。今30代ですが、仮に40代になった時に自分の世界を変えていくためにはチューリングの仕事を通して、完全自動運転のための計算環境やマルチモーダル生成AI開発におけるインフラ構築の第一人者となれればと考えています。
チューリングは大きな挑戦をしている会社です。だからこそ、そういった思いも実現できると信じています。
HR立石の編集後記vol.7

※渡辺さんのラーメン記録
ファーストキャリアのNTT時代に濃密な経験をしている渡辺さん。普段はグルメな話で盛り上がるチャーミングな人ですが、インタビューする中で印象的だったのは、目的・背景・プロセスの深い言語化能力です。大企業で大きな資金を扱うミッションに携わった渡辺さんのエピソードはスケールが大きく、背景にあるエピソードは濃密でした。大規模GPUクラスター構築は各社が今取り組んでいる領域ですが、渡辺さんと世界に誇る最強の環境を作っていきたいと思います!
ライター:久保
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